ナースステーションから近い部屋に香梨奈ちゃんがいるらしく、看護師さんが先に行って香梨奈ちゃんに携帯を渡してきてくれたようだった。

そして、廊下からガラス越しに香梨奈ちゃんが見えた。

香梨奈ちゃんはダンと私に向けて手を振ってくれている。

私は初めて会う香梨奈ちゃんにお辞儀をして、小さく手を振り返した。

ダンも看護師さんから病院で使える携帯を受け取り、香梨奈ちゃんと話をしている。

「香梨奈、体調どうだ? めまいとかないのか?」

『うん、大丈夫だよ。ね、お兄ちゃん、その隣の人ってユズさんだよね?』

「ああ、そうだよ。香梨奈に会いたかったんだって」

『ほんと、嬉しい。ね、ユズさんに電話かわって』

「ユズ、香梨奈がユズと話したいって」

そう言ってダンが私に携帯を渡してくれた。