「ユズ、小児病棟へ行ってみるか?ナースステーションまでなら入れるんだ。もし香梨奈の体調が良かったら携帯で話もできる」

「うん、行ってみよう。私、香梨奈さんに会いたい」

「なぁ、その香梨奈さんってやめようよ。香梨奈ちゃんか、香梨奈でいいよ。まだ小学生だからな」

「じゃあ、香梨奈ちゃんで」

小児病棟まで行く間、ダンはこの病院のことを教えてくれた。

「小児科の担当の先生は結城総合病院の跡継ぎで、とても優しい先生なんだ。結城和己先生って言うの」

「担当の先生が良い先生で良かったね」

「ああ。和己先生の弟さんも心臓外科の先生らしいんだ。凄い家族だよな、みんな医者だもんな」

「凄いね、なんか住む世界が違うって感じ」

「あはは、和己先生はそんなことないぞ。会えば分かるんだけどな」

「うん、そうだね」

「ここが小児科だよ。ユズ、ちょっとここで待ってて。会えるか聞いてくるな」