「ユズはいつも泣いてるな。もう泣くなよ。泣き止むまでこの公衆の面前でずっと抱きしめてるからな。目立ってるからな。いいんだな、ユズ」
「そっ、それはダメ。恥ずかしい。泣き止むから。少し待ってぇ」
「ははっ。ユズ、かわいい」
どうしたの、ダン。かわいいなんて言ったことないのに。
「私、かわいくないよ。ダンには不釣り合いだって思う」
「ほんっとにユズって分かってないよな。不釣り合いって誰が決めるんだよ。俺たちは誰かに決めてもらって付き合うんじゃないだろ」
「・・・私たち、付き合うの?」
「えっ? 付き合わないの? 何、その質問」
「私と付き合って・・・くれるの?」
ダンは私の肩におでこを乗せて、深いため息をついた。
「はぁ~、ユズ。俺のこと好きだってさっき言ったよな。俺、もうユズのこと離さないよ。それがイヤだったら、付き合わない。どうする?」
「離さないで。私のこと捕まえててください」
「はい、よく言えました」
いつの間にか私は泣き笑いに変わっていて、ダンと一緒に笑い合った。