「なぁ、ユズ。俺がここに来た理由」

「はい、教えてください」

「その前に、起き上がれるか? ベッドに座って俺の方に体を向けられる? 大切な話をしたいんだ」

「うん。もう大丈夫です」


私は上半身を起こしてベッドサイドに座り、ダンの正面になるように座り直した。


ダンはフゥと小さく息を吐くと、私の目を見て話しを始めた。


「昨日の駅でのこと。それと電話に出なかったこと。ライン無視したこと。全部気にしないとでも思ってんの? 俺がユズのこと、どれだけ心配したか、分かってんの?」

「そっ、それは、ごめんなさい」

「ユズはさ、俺が嘘の付き合いを終わりにするって言ったことについて、何か誤解してるんじゃないか?」

「それは、誤解じゃなくてその通りですよね。私にはもう必要のない嘘です。もう暖先輩は私のために嘘をつく必要はないです」

「そうだな、もう嘘で付き合うのはやめよう」

ほらね、誤解でもなんでもないじゃない。

ダンは私に何が言いたいんだろう。

昨日のことを怒っているのなら、怒ればいいのに。