「待てよ、ユズ。一体何があって急にそうなるんだよ。俺、意味分かんねぇ」
ダンが一人納得していない様子だけど、
「私はたっくんが復帰するまでのヘルプだもん。たっくんが演奏できるのなら私はもうMGRのメンバーじゃなくなるの。そうでしょ」
「そうだけどさ。急すぎないか?」
「ライブも出なくなったし、もうダンも私のこと気にしなくて大丈夫だよ。今まで色々ありがとう」
そう、私が男の人に免疫ができるまでの約束で始めた嘘のカレカノ。
ライブに出なくなった今、私に免疫ができようができまいが、その約束はもうおしまい。
嘘でもダンとお付き合いできたこと、嬉しかった。
本当はもっと一緒にいたかったよ。
ああダメだ。ダンのことを考えると、また涙が出てきてしまう。
私は気合を入れて、
「中断させてしまってごめんなさい。始めましょう」
そう言ってキーボードの前まで移動した。