「なあ、ユズ。デモ録音が終わったら、どこかへ遊びに行かないか? 俺からのご褒美な」

「えっ? どこかへ連れて行ってくれるの? 本当に?」

「ああ、行きたいところ考えとけよ。俺が全力でエスコートしてやるから」

「嬉しい! ダン、とっても嬉しい。もう行きたいところは決まってるんだけど」

「あははっ。決まってるって。で、どこ?」

「あのね、夢の国に行きたい。大きなネズミと一緒に写真撮りたい。私ね、一度も行ったことが無いの」

「ええっ! ユズ、一度も行ったことないの? マジで言ってる?」

「だって。あそこは彼氏と行くって決めてたから」

「それ、俺でいいのか? 彼氏のような、じゃないような俺でいいの?」

「うーん。じゃあ夢の国はやめとく。本当の彼氏と行く。別の場所を考える」

「い、いや、いいんじゃないか? 俺と行くのもありだと思うぞ。うん、俺と行くべきだ。楽しもうな、ユズ」

「そ、そう? ダンと行ってもいいのかな。彼氏じゃな・・・い」

「いや、彼氏だろ。俺がユズの彼氏だから。いいんだよ」

変なダン。

俺でいいのかって聞いてきたくせに、俺と行くべきとかって。

それでも私は好きな人と夢の国に行けるんだもん。

とても楽しみにしているからね、ダン。