「分かったら帰るぞ。はい」

またダンが「はい」って言って左手を差し出してきた。

その手を今度はそっと握る。

握った瞬間、心臓がキュンと鳴く。

苦しいよ、ダン。私、苦しいよ。


ダンは私のことを心配して偽りの彼氏をしてくれている。

そんなの最初から分かっていたのに。

ダンに好きな人がいても、私のことは関係ないんだね。

私とダンの間には恋愛感情が一切ないから。

正真正銘の嘘のカレカノなんだね。