「ダンさー、ユズとはただの先輩後輩の関係なんだろ? なんでユズの家を知ってるんだよ」
カイトさんから鋭い突っ込みが入ってもダンは慌てなかった。
「それくらいただの先輩後輩でも分かってるの。つーか、なんだよ ”ただの” って」
「私とダンはただの先輩後輩ですって、私が言いました」
それを聞いたダンが小さい声で
「なんだよ、それ」
って言ったのが聞こえた。
だって嘘カレカノじゃないのなら、本当にただの先輩後輩だよ。
MGRメンバーの前では嘘カレカノじゃないんだもん。
そう説明したっていいじゃない。
「さ、さ、早くユズを送って行きなさいよダン。遅くなっちゃうよ。じゃあね、ユズ。また次の練習の時にね!」
「はい。アヤさんも皆さんもお疲れ様でした。おやすみなさい」
なんとなくダンが不機嫌になりそうだったから、アヤさんが話を止めてくれて良かった。
メンバーとスタジオで別れると、ダンが先にスタジオを出て行った。
私はそんなダンの後ろを歩く。