「こんにちは。さっき暖くんと一緒にスタジオに入った子だね。キーボードを演奏するのかい?」

「はい。あのバンドの助っ人なんですけど、幼い頃からピアノを習っていまして。それで声を掛けてもらったんです」

「ああ、そうか。MGRのキーボードのハルくんが怪我をしたらしいからね。ハルくんもピアノが上手らしいよ。今日はハルくん、来ていないのかい?」

「はい。私はそのハルさんにお会いしたことないんですけど。ピアノもキーボードも上手な方なんですね」

「ピアノの腕は相当で、有名なコンクールで何度も入賞しているんだよ。凄い子がMGRで演奏しているって有名でね。ハルくんの助っ人なら、あなたも相当なんだろうね」

「い、いえ。私は全然ダメです。そんなに凄い方の助っ人だなんて、知りませんでした。どうしよう」

「ははは、大丈夫だよ。皆に認められたんでしょ? だったら大丈夫、心配しなくていいよ。それで、何か商品を探しているのかい?」

「いえ。あっ! そうだ。ダンを探しに来たんです。弦を買いに来ませんでしたか?」

「暖くんなら外で電話しているんじゃないかな。さっき携帯で話しながら店の外に出て行ったよ」

「わかりました。ありがとうございます。またお話聞かせてください」

マスターに挨拶をしてからお店の外へ出てみる。