それでも変な顔はできないから、おそるおそる差し出された手を握り返し、
「柚葉です。こちらこそ、よろしくお願いします」
「へぇ、ユズって本名は柚葉って言うんだ。可愛い名前だなぁ。いや、良く見たら顔も可愛いな」
やっぱりこのボーカルさん、軽い。
私は握手したままの手を解こうと自分の方へ引いたんだけど、カイトさんは離してくれなかった。
「なあ、なあ、誰がユズを探してきたの? 誰が知り合いだったの?」
タクさんがその質問に答えてくれた。
「ダンだよ。ダンと同じ学校なんだよ」
「へえ、ダンの知り合いなのか。で、どんな知り合いなの?」
今度は私に答えを求めるかのようにカイトさんがじっと私を見つめる。