誰かの、「暖、また明日なー」っていう声で、ダンがそこにいることに気付いた。
「あっ! ダン」
私はダンに向かって小さく手を振る。
「お待たせ。ぷっ、ユズは面白いな。落ち着きなく、あーでもない、こーでもないってやってたのをずっと見てた」
「見てたの? 酷いよ、ダン。こっちはドキドキして待ってたのに」
「ん? 何にドキドキしてたんだよ」
「それは・・・色々だよ。もう、いいじゃん。早くスタジオに行こう」
「おう。そう言えば3曲習得したのか? まぁ、ユズなら簡単に弾けるんだろうけどな」
「弾けることは弾けるけど。皆と入るタイミングとか合わせたことが無いから、今日それができるのが楽しみだったの」
「ユズがMGRの活動を楽しんでくれてて良かった。ありがとうな、ユズ」
「ううん、私の方こそだよ。キーボードができるの楽しいもん」
お昼休みのダンとは違い、いつも通りのダンに戻っているから安心したよ。