「だって、藤枝さん知ってたもん!」

「お前は…俺と莉々子の言う事をどっちを信じるんだ!」

碧人さんの怒鳴り声が響いたのと同時に、後ろからクラクションが鳴って信号が青になったのに気が付いた。

それと同時に彼の手をパッと離す。

「それに…リフォームするなんて聞いていない…」

「今の家じゃあ、狭すぎるだろう? 元々就職してからお金を貯めて家をリフォームする事は計画してたんだ」

じゃあ…伊織さんの言う通り私の為ってわけじゃないか。

「そうなんですね。台風でも直撃したら大変ですもんね。
耐久性も分からないから大きな地震でもきたら崩れそうですし」

「お前も真白とずっと同じ部屋っていうのも不便だろう。
敷地内に小さな家を建てる。
とはいっても、お風呂とか食事をする場所は一緒になりそうだけど
昔ながらの言葉でいうなら、母屋と離れみたいな感じか」

碧人さんの言っている言葉は中々理解出来なかった。
数秒考えて、ハッとして碧人さんの方へ身を乗り出す。