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マンションから出てから、車に乗っても何故か碧人さんは私の手を握りっぱなしだった。
じんわりと汗が滲んでいく。

恥ずかしい。手汗よどうか止まれ。そう祈れば祈る程じわりじわりと沁み込んでいく気がする。
てゆーか、碧人さんに触れられるだけでドキドキするんだから…お願いだから手を離してよ。

「碧人さん、片手運転は危ないと思います…」

そう指摘しても、碧人さんの片方の手は私の手を握り締めたまま。
横顔を覗いて見ても、暗がりで表情はよく分からない。
このままじゃあ、心臓が破裂してしまいそうだよ…。

「あのどこへ…?」

「家に帰るに決まっているだろうが、それとも二人きりになれる所に行きたいか?」

「はぁー?!!!?何言ってるの!!変な事言わないでよ!」

「何を想像してるんだか。あ、お前今エロい事想像しただろう?」

ケラケラとからかうような言い方をして、車は信号で動きを止める。
手は繋いだまま離してくれそうもない。 じわりと滲んでいく手汗が恥ずかしくって焦る。