大臣達が護衛の騎士達に視線を移した。
 いつでも斬りかかれるようにしろ、と。
 一方のサウスマルケリアの護衛を含めた一団も顔つきが厳しくなったわ。
 謁見の間の空気はまるで戦闘準備態勢よ。

「そのようなつもりは一切ございません。 この縁談には先を進める以外の道は無いに等しい。 私としても破談にするつもりなど毛頭考えておりません。 ですので、こちらに控える者を連れて参りました」

 私の心は瞬間的に沈んだわ。
 どうして彼女までがここにいるの?

「陛下、この者はノーラ・モルガン嬢。 モルガン家は男爵位で、彼女は長女にございます。 私とノーラ嬢はかねてより親しくしており、将来を誓い合った関係にあります」

「では愛妾にでもするがよかろう」

「陛下はそれでよろしいのですか?」

「そなたが申されたのだろう」

「ですが、王女様のお気持ちは……?」

「そなたは他の者に対する配慮も心得ておるのだな」

 そう行ったお父様は私の方を向いた。
 そうなると、言うしかないでしょう。

「陛下がそうおっしゃるのなら私に依存はございませんわ。 愛妾でも何でもお好きになされば?」

「まぁ、そう言うでない」

 お父様は笑って一蹴したわ。

 どうやらこれで決まったようね。
 私の二度目のどん底人生が。