翌日の朝、早速佳子と清子へ結果報告した。

「プリンスを呼び出して何とかバレンタインのチョコパイを渡したけど、緊張して

何の進展もなかったよ。」

「丸ちゃん頑張ったねえ~。プリンスと二人で会えてよかったじゃん。これでプリ

ンスも丸ちゃんの気持ちに気付いてくれたんじゃない。」

佳子が明るい声で励ましてくれた。

「そうだよ丸ちゃん!プリンスにバレンタインのチョコ渡せたんだから凄いよ!」

清子も笑顔で励ましてくれた。

(そうだよな~がんばって二人きりになれたんだから。憧れの人とわずかな時間だ

けど一緒に居られたんだから。自分なりに頑張ったよ!進展はないけど。)

高校卒業までの約1か月の間、つまり3月の半ばまで出っ歯とギョロとの朝の譲二君

争奪戦は続いたが、譲二君は相変わらずポーカーフェイスで車両に乗り込んでい

た。当然譲二君から何等かのアプローチはなかった。最後の最後まで進展せず、私

の片想いの恋は高校卒業と共に散っていった。