包帯でしっかり固定された右足に気を遣い、いつもの洋室に入った。

 僕の様子が気になるのか、大和が付いて来る。

 畳んだ布団の上に腰を埋めると、神妙な顔をした大和が「足の怪我」と呟いた。

「さっき恭ちゃん、紗里のせいだって言ってたけど。紗里が何したの? 足引っ掛けて転かした?」

「……いや。俺らが走るコースに角材を置いたんだ」

 そう言葉に出してから気が付いた。普通の感覚なら、それは転んだ本人の不注意で起きた事故であって、紗里を責めるのはお門違いだ。

 そんなのただの八つ当たりじゃん、と。大和からそう返ってくるのを恐れた。

 僕は弁解するつもりで「試合に行かせないためだって言われた」と言葉を補足する。

 大和は僕のそばに腰を下ろした。

「この前さ。オレ、恭ちゃんに言ったじゃん、紗里の目には理由があるって」

「……え? あ、ああ」

 そうだな、と続け首肯する。

「直接紗里に目のこと聞いた?」

「……カラコン、のことは聞いたけど。多分はぐらかされた」

「じゃあなんで紗里が留年したのかは聞いた?」

「……。いや」