『そっか…それなら仕方ないよね。奥さんも毎日側にいてわかったんじゃないかな。七海先生の中には他の誰かがいて、自分を見てないって。最初からわかってたつもりだったけど、実際に側にいると余計につらいと思うからさ』


『…』


何も言えない…


『大好きな七海先生と別れるのは寂しかったかも知れないけどさ、その分、藍花が幸せにならなきゃダメだよ。奥さんだって、七海先生より良い人に必ずいつか巡り会えるんだから。そのための離婚だよ。絶対に』


『月那…』


その言葉にちょっと救われる。


やっぱり月那の言葉って、すごい。


七海先生が私のことをずっと想ってくれてるなんて、自惚れたくはないけど…


でも、奥さんの、好きな人と別れるっていう決断…ものすごくつらかっただろうって、今の私には痛いほどわかった。


結婚して蒼真さんの側にいて…


私はどんどん彼を好きになっていくから。