『先生、そんな馬鹿なこと言わないで下さい。それがどれだけのことか私にだって想像出来ます。私には…そんな価値はありません。私は、先生みたいな立派な人とは釣り合わないですから』


七海先生には、産婦人科医としてこれからもたくさんの命をこの世に送り出す使命がある。


何もかも失うなんて、絶対にダメだよ。


『僕は藍花ちゃんを守りたい。守る価値のある人だと思ってる。本当だよ。君の笑顔は可愛くて太陽みたいに眩しい。そばにいるだけで元気になれる。僕は立派なんかじゃないし、まだまだ男としても何かが足りたいと思ってる。だから、釣り合わないなんて言わないで…』


七海先生の言葉に、どうしようもなく体が熱くなって…自然に涙がこぼれた。


向こうにはみんないるんだよ…


泣いちゃダメなのに…


どうしてこんなに切ないの?