さっきまでとは違う穏やかな表情に少しホッとしたけど、この後に続く言葉を聞くのがすごく怖かった。


こんなの慣れてなくて心臓に悪い。


とんでもなく嫌なことだったり、悲しいことだったらどうしよう。


『は、はい』


返事をしたものの、何だか緊張が止まらない。


まだ心の準備が中途半端なうちに、七海先生は静かにゆっくりと話し始めた。


『僕は…今回、ただ病院に戻るだけじゃないんだ。ある人とのお見合いの話があってね』


『お見合い…ですか』


『ああ。相手は父の大事な友人のお嬢さんで、僕も少しは知ってる人なんだけど…その人が僕を気に入ってくれてるらしくて。両親はそのことをとても喜んでてね』


『そうだったんですか…それは素敵じゃないですか。ご両親が喜んで下さってるなら良かったですね』


そっか…


やっぱり七海先生には決まった人がいたんだ。


そうだよね、こんなに素敵な人なんだから相手がいて当然だよ。