『ありがとうございます。私ももっといろいろ教えてもらって勉強したかったです。あまり話す機会もなかったですから残念です。もう松下総合病院には戻られないんですか?』


また一緒に働ける時がきたらいいのに。


そんなこと思ったらダメなのかな…


『そうだね。松下院長には恩があるけど、実家の病院に入ればもうずっとそこで頑張ることになるかな。産婦人科がメインだけど、あと美容系もやっててね。父にどうしても戻ってほしいって懇願されて。松下院長にも背中を押してもらって…本当に有難い限りだよ。でも…』


少しの沈黙。


『先生?』


『…やっぱりもう少しだけ…』


七海先生は、思い詰めたように下を向いて唇を噛み締めた。


『…大丈夫…ですか?』


『ごめん、藍花ちゃん。本当は…君に伝えようか悩んでたことがあってね。でも、今日言わないともう二度と言えない気がするから…聞いてもらってもいいかな?』


そのとても優しい声にドキドキする。