家に帰りると、やはり傷口が痛み出した。
翼が処方した鎮痛剤を飲み、なんとか朝を迎えた。

朝には公が来てくれた。

「はい」
病院近くのベーカリーのパン。
「ありがとう」
当直明けの公は、この後朝からの勤務が待っている。
時間がないのにわざわざ来てくれたことが嬉しい。

「あまりゆっくりはできないんだ」
「うん」

コーヒーを入れ、 2人でパンをつまんだ。

「お前は何でも1人で抱えすぎだ」
「ごめん」
心配してくれているのが分って、素直に口をでた。

「どうして相談しないんだよ」
「まさか、怪我するとは思っていなかったし。大丈夫だと思って」
「大丈夫じゃなかったな」
呆れた顔。

「だから、ごめん」
2人でいるときの公は、いつもとっても俺様。
厳しいことを言われることだって珍しくないけれど、嫌な気分ではない。
私だけが知る公だから、

フフフ。

「こら、怒られてるのに笑うな」
公は怒っているけれど、そんな公がとってもかわいい。