警察は色々と事情を聞き、 1時間ほどで帰っていった。

その後、翼が付き添っていると、
トントン。
診察室がノックされ、公が顔を出した。

「大丈夫?」
周りにいるスタッフを気にしてか、とっても優しそうな顔。

しかし、呼ばれてもいない公が顔を出せば、
「先生どうしたんですか?」
当然、看護師に聞かれしまう。

「うん。たまたま救急に呼ばれたんだ。そうしたら山形先生が運ばれたって聞いてね、お見舞い」
相変わらずいい笑顔。
あたしじゃなくて、公の方が絶対小児科医に向いている。

「俺、医局覗いてくるわ」と翼。
いつの間にか公と2人になっていた。


「大丈夫か?」
「うん」
「なんですぐに知らせないんだ?」
怖い顔。

「だって、心配かけると思ったし」
「その油断がこの結果を招いたんだろう。しっかりしろ。何かあってからでは遅いんだぞ」
叱られた。

「ごめんなさい」
いつも強気な私が、公の前では素直になれる。

「明日は休めよ。無理すると長引くだけだからな」
「嫌よ。明日は外来の予定なの」
簡単に休むわけにはいかない。

「言うことを聞け。あいつに診断書書かせるから」
「えー」
「紅羽」
はー、この顔は決定って事ね。