「今日はたい焼きと本を買おう。」
日付が変わって昼間の学校。
母親には友達作れって言われる。
容姿からなのか口調からなのか何もかもからなのかわからないが誰も寄っては来ない。
だからそんなこと気にせずに弁当食べる。
「どーせなら新札まで行って本買いたいなぁ」
特に仕事もないし。
そこからの記憶はあまりない。
特に記憶に残るようなことも残すべきなこともやってない。
ただただ時間と授業が流れて行ってあっという間に帰る時間だ。
あと十分ぐらいあるけど。
途中転校生とか聞こえてたっけなぁ......
気のせいかなぁ......
「だるい。まじだるい。」
ぐったりしている私。
すると突然前の席から声をかけられた。
「すみません、僕、今日から転校してきたものです。突然話しかけてしまって申し訳ないです。話せそうな人があなたぐらいしかいなくて。」
今日来た男子転校生だ。
確かに、周りはいつもの面子が集まってわいわいしてる。
「あー、はいはい、転校生さん。ごめん、寝てたか何かであなたの記憶が一切ないわw」
出来れば適当に話を終わらせてしまいたかった。本が読みたい。
「あぁ、そうでしたか。」
って返された。
でも母親の話を思い出したので少し話を続けてみる。
私はおもだるい体を起こして話す。
さっきまで目を瞑っていたから視界がぼやけている。
「ねむくない?私はバチクソ眠い。昨日エナドリに手ぇだしちまったからだよ絶対。」
と、少し馴れ馴れしい態度で話してみた。
というか、もうそろそろ帰る時間だ。
「なんか最初ぐったりしてた時は女性かと思いました。話してみると声も低くてギャップがすごくて印象的です。」
私が女っぽい髪型して悪いか?そうですよ、私は男ですよ!
こういうときだけは私は独り言を言わない。
そして、視界のぼやけが薄れてゆく。
転校生君の顔でも覚えてから帰るかな。
丁度チャイムが鳴るまで一分。
「よし、もう時間ないから君の顔だけ覚えて帰るね」
と、軽い気持ちで男子転校生の顔を見る。
......正直驚いた。
顔の形が整っていてパーツもよい方だ。
って、どこに着目しているのだ私は。
そんなところ見なくても顔は覚えられるだろうが。
うわぁもうなんかそれ以外考えられなくなってきた。
イケメンだなぁ。よく誰も話しかけないな。
もしかしてほんとうはメチャクチャ不良だったりする?
私はなっているチャイムに気付かずに呆然としていた。
あまりにも衝撃的な話だ。
そして本当に暇しない世界だ。