「もう帰ろっかな。なんとなく。」
ということで、三十分ぐらいしか外にいなかったけど帰ることにした。
実はかれこれもう七時ぐらい。
「なーんか夜って誰も歩いてないから落ち着くんだよね~w」
これが深夜テンションってやつだ。
なんか、何もないのに笑えてくる。
歩いてすぐのところに、自販機があった。
「百円統一系だな。ありがてぇ。」
この自販機はとにかく財布にやさしい。
ただ、だいたいエナドリだけ200円だ。
エナドリ飲んでみたいなぁ
...買うか。
なんだか見てるだけで魔物に切り裂かれてしまいそうなデザインの缶を購入。
「今日は少し夜更かししたいからな。」
途中、野良のにゃんこが左の茂みから私の目の前を通って右側の茂みへと突進していった。
何がしたかったのか正直気になったが、面倒だったので家に直行した。
「野良のにゃんこなんて探してもなかなか見つかんないのに普段どこにいるんだろうな」
なんていう独り言を右の茂みにつぶやきながら......

「おかえり、はやかったね。」
「んまぁね。あと、もう部屋にこもっておくわ。そしてそのまま寝るから」
「はいはい、おやすみー。」
と、足早に階段を駆け上がり、二階の端にある自分の部屋に入り、学校に持って行っている重いリュックを扉に押し付けた。
そして勉強机に向かって椅子に座り、エナドリを置いてやった。
正直、私にとってエナジードリンクというのは体に悪いというイメージしかない。
ちょっと一口飲むまでに勇気が必要そうだ。
少し間をおいて、流石に飲もうと思い缶を握る。
周りに水滴がついていて滑り落ちてしまいそうだ。
しかも缶ジュースなんてめったに飲まないのでプルタブを開けるところから苦戦する。
「ってか、改めてみるとっ...パッケージこわっ...くねっ?」
開栓に力を使っている今であっても独り言は欠かさない。
黒い缶に緑の爪痕。さらにかなり個性的な字体で商品名を記載している。
やっと開いたかと思うと力が抜けて缶を勢いよく吹っ飛ばした。
「あぁ...w」と思ったが、床に落ちても水滴の一つも零れていない...?
...
...まだ開いてなかった。
「こんな茶番してる暇はねぇ」
「なに落としたー?」と、一回から母の声が聞こえた。
「あー、スマホ落とした―」と返事を返した。
「壊れてないならよし」といって、遠のいていく足音が聞こえた。
そして、エナドリの開栓を続ける。
「開栓したい私、バーサス、開栓されたくないエナジードリンク...しぶとい奴め」
長い戦いになりそうだと思っていたが、さっきの落下の衝撃で簡単に開いた。
私は勝利の余韻に浸りつつエナドリを啜る。
「んー......」
正直私の口には合わなかった。
「何本も進んで飲もうとは思わないかも......」
ただ私はそれのおかげで飲みすぎてしまわないようにできているのだと自分を納得させて飲み続けた。
「なんだか今日はオールできる気がしてきたので宿題を始めることにしましょ」
と、宣言して宿題に手を付け始めた。夜更かししたかったので丁度良いだろう。
いやぁ、割と勉強って机に向かうまでがめんどいのよ。
机に向かっちゃえば勉強なんてすぐですよすぐ。
私は今、黙々と勉強している。
これはきっと将来仕事での忍耐力をさずけてくれる糧となり生贄となり...?
自分でも何言ってるかわからなくなったので勉強をしよう。