「そうだね。今度の連休に行こう。」
俺も『寄り添う』だけではなくてきちんと彰のために何かをしてあげたかった。それに来週は四連休だから行って帰るには十分だ。
「それじゃあ、来週にでも行こう。俊のお母さんに言っといてくれ。向かうためのお金はわしが出そう。元々教えたのはわしだからな」
「え、でも…」
俺がそう言いかけた時、朱里さんは少しだけ笑った。
「いいんだよ。ここは格好つけさせてくれ」
「…ありがとうございます。」
朱里さんの優しさを素直に受け取ることした。
「ありがとう！おばあちゃん！」
楓は屈託のない笑顔で笑った。久しぶりに楓の心からの笑顔を見た気がした。
それで、俺が持ち出した『一緒にここに住む』という提案だが、楓が一人の方が集中できると言っているので結果として彰を俺達の家に迎え入れることにした。もちろん彰には後で言うつもりだ。
話し合い？みたいなことが終わり、俺はまっすぐ家に帰宅した。
家に帰ると母はまた迎え出てくれた。でも、今回は慌てている様子はなく落ち着いていた。
「ただいま」
いつものようにそういうと母は優しい声で「おかえり」と言ってくれた。
