次の日、いつも通り部活を終え、楓と佐伯の三人で再び帰宅をしている。と言っても二人が会話をしながら帰宅しているのを後ろからついて行くといった感じだ。会話の内容は女子がするよな恋バナだった。もちろん俺は参加してない。
そして、楓は演技をしていることを俺だけが知っていた。二つの意味で。一つ目は楓は恋なんてしたことがない。それは本人も言っているし幼馴染である俺から見てもそうだった。二つ目は彰が病気であることを知っている俺と二人きりの時とだいぶテンションが違う。だいぶ無理をしているのが見てわかる。
「今日も送っていただきありがとうございました。」
佐伯の家に着くと佐伯は俺たちに向かって頭を下げ、ドアを開けて中へ入っていった。
「恋愛なんて…」
俺にギリギリ聞こえるくらいの声でボソッそう呟いた。俺にはその続きがわかっている。『恋愛なんて、今はする暇はない』だと思う。
なら、なんで美術部をやめないかという質問をこの前授業中に紙に書いて渡したが返事はこうだった。