「わかった。早速明日、直接朱里さんの家に行って提案してみる」
「そーしてみるといいわ。でも、もしそれがダメなら彰くんだけでもうちに連れてきなさいね?」
「わかった」
そう返事をすると今まで黙っていた父が口を開いた。
「俊…彰くんにいつでも頼っていいからとだけ伝えてくれないか」
ごめん父さん。それは出来ない。俺はまだ彰のため、楓のためまだ知らないふりをしてるんだ。だから、伝えられない。心の中でそう思った。
「…わかった。伝えておくよ」
気づけば、食事中だということを俺も両親もすっかり忘れていた。
冷めきってしまったが食事を済ませてすぐに風呂に入り、湯船に浸かった。
両親はもしかしたら彰が病気だということをまだ信じていないのかもしれない。そう思った矢先、静かな風呂場で耳を済ませなくても聞こえる声で両親が会話をしていた。話題は彰の事だった。
「まさか…彰くんが病気だったとは」
「お母さんも同じ病気で亡くなってるのよ。治るといいわね」
「そうだな…。」