少し残念な気持ちになったが、楓に言われた通り自宅に帰ろうと思った。
家に帰り、夕食の準備が既に済んでいて父と母も既に座っていたので俺もすぐに手を洗い、うがいをして席に着いた。
「最近なんでこんなに遅いの？理由があるなら話聞くけど」
俺が夕飯の回鍋肉を最初に口にした時、母が俺に聞いてきた。
「ちょっと事情があって…」
遅くなる経緯は色々あるが、一番は楓がおばあちゃんの家にいることだと思う。だから理由を話すとなるとまずは彰の病気の話をする必要があったが、俺の両親に彰の病気のことついて話すべきか少しだけ悩んだ。
悩んだ末、話すことにした。理由は両親に何か協力をしてくれることがあると思ったし、俺の両親は彰や楓のことを俺の幼馴染ということもあり、ほとんど家族のようなものだと随分前に言っていたのを思い出したからだ。
「実はさ…」
俺は真面目に話した。彰が病気ということ。医者になるために楓がおばあちゃんの家で勉強に必死してること。ついでに帰りが遅い理由も全部伝えた。でも、余命の話はしなかった。