「うん。チケットのお礼をしたいからだよ｣
「確かその子の家、私のおばあちゃんの家に近いよね」
確かに近いと言えば近い。佐伯の家を通り過ぎて少し歩いたところにおばあちゃんの家がある。この前最後まで送り届けたので分かる。
「確かに近いよ」
「私も一緒に帰ってもいい？」
「俺はいいけど…いつも帰ってる部活の友達は？」
「今日はいいの。私に気を遣ってくれたから」
何に対して気を遣ったのだろうか。少し気になったがあまり深く追求はしない方が良さそうだった。
「…そう…なんだ。別にいいけど」
佐伯の許可もなく返事をしたが、そもそも一緒に帰る目的はチケットのお礼を言うためなので楓がいても構わないと勝手に判断した。
「先輩〜。おまたせしました……ってあれ？彰先輩の…」
「彰の姉の楓です。今日は私も一緒に帰ってもいい？」
楓は一度軽く会釈をしてからそう言った。
「か、構いませんよ」
佐伯は何故か一度許可するのを躊躇した。
「そんなに怖がらなくても食ったりしないよ？」
佐伯は何故か楓に脅えてる？ような姿をしていたので楓が安心させるためにそう言った。