「うん、そうだよ。…これ、実は佐伯がくれたんだ」
さすがに俺の案で水族館に行こうと思われるのは佐伯が可哀想だと思ったので話すことにした。
「佐伯ってバスケ部マネージャーの?」
「そう。佐伯が俺らに気を遣ってわざわざ俺にくれたんだ。」
「もしかしてあの子?下校中に信号であった子でしょ」
彰の前で出して欲しくなかった事だが仕方がない。
「あー、そう。その子に貰った。」
俺が軽く相槌を打つとすぐに彰が反応した。
「え?なに、俊…佐伯とできてるの?」
おそらく彰の言う『できてる』とは俺が佐伯と付き合っているという意味だろう。そして、その質問の答えはこうだ。
「んなわけ。たまたま一緒に帰ってただけだよ」
良い訳では無い。本当にそうだからそう言った。
「あ、そうなんだ。思わずできてるのかと…」
「私も最初見た時はそう思った!」
今度は楓が反応をした。
「その時は焦ったわ。」
「なんで?」
楓が頭の上にはてなマークを浮かべていたが、理由なんて決まってる。楓に誤解をされたくないからだ。でも、そんなこと言えるわけなかった。