「…じゃあ後悔のないように頑張れよ」
朱里さんはまるで自分には後悔があった、みたいな言い方をした。でも、違う意味にも捉えられた。後悔しない人間なんていないから、できるだけ後悔のないようにという意味だと思った。
「…わかりました。」
そう言うと朱里さんは頷いてから台所の方へ行ってしまった。そして俺は再び楓の部屋に戻った。
「おばあちゃん、なんだって?」
俺と話していたことが気になったのか、楓は俺が座る前に聞いてきた。
「あ、いや別に大した話じゃないよ」
「…そっか」
楓は深くは聞いてこなかった。なんか申し訳なかったけど言うとまた楓が泣いてしまう気がして言えなかった。
「えっと…俺もう帰るね」
部活帰りということもあり、いつもより一時間程遅くなってしまったので両親に心配されてないかしんぱいだった。中学校はもちろん携帯を持ち込むのは禁止されているから家に携帯をお家来たので余計に心配してると思った。
「…そっか。多分、明日は普通に学校に行くから安心してね。あとこれ、ありがとう」