「私…頑張るから。俊は心配しないでね」
顔をあげると楓は泣いていた。俺の家に来た時と同じように。俺はそんな楓を思わず抱きしめてしまった。
「あんたら、何しとん？」
声が聞こえた方をちらっと見たら楓達のおばあちゃんである、朱里さんがこちらを見ていた。年齢で言うと六十歳くらいの割と若いおばあちゃんで最後に会った日とあんまり変わっていなかった。
「とうとうくっついたか…」
そう言われて自分が抱きついていたことに気がついた。すぐに楓から離れて状況を説明した。
「あ、いえ。これは…あの…その…不可抗力で…別に付き合ってるわけでは…」
テンパって自分でも何を言ってるのか分からなかった。
「まぁ、そんなことより楓は熱は下がったのかい？」
俺の全力の言い訳は何故か聞いて貰えなかった。
「あ、うん。まだ少し熱あるけど朝よりは下がったかな」
「そうか…、というか俊、久しぶりじゃの｣