帰る支度を終えて、楓のおばあちゃんの家に行く。学校を出ていつもなら右に曲がるが今日も佐伯と帰宅した時と同様に左に曲がる。
楓達のおばあちゃんは二人の母方の祖母で、祖父の方は二人の母親と、そして彰と同じ病気で亡くなったというのもをこの前俺のお母さんに聞いた。
彰も楓ももちろん俺もその祖父にあったことはない。でも、祖母には昔よくお菓子などを貰っていた記憶がある。
とりあえず楓達のおばあちゃんの家までの通り道にコンビニがあったので手土産を買うために立ち寄った。
ササッと栄養ドリンクとスポーツドリンクとおでこに貼るような冷たいやつと楓の好きな桃のゼリーをカゴに入れてレジに並び会計を済ませて再び家に向かって歩き始めた。
歩き始めて五分程経って目的地に着いた。昔と全然変わらずの古民家で庭に楓の好きな桃の木がたっていた。あの桃の木も楓のために植えたらしい。
で早速インターホンを押した。すると、返事をしたのはおばあちゃんではなく病人の楓だった。
「お見舞いに来た」
俺の声だけでわかったのか「わかった」とだけ言って玄関の鍵を開けてくれた。