「ごめん。幼馴染が熱出しちゃって。そのお見舞いなんだ。｣
事実を説明した。別に隠す事ではない。
「この前…信号で鉢合わせた人ですか？あの彰先輩の双子の姉の…」
そういえば佐伯には話したんだっけか。
「あ、うん。」
「俊先輩はその人のこと好きなんですか？」
急な質問に飲んでいた水道水を吹いてしまった。
「な、なんだよ急に。別にそんなんじゃ…」
本当は好きだ。だからって別に佐伯に言う必要はない。
「先輩は…………」
ボソッと何かを言った気がしたが聞こえなかった。
「なんか言った？」
「あ、いえ。なんでもないです。じゃあ、お疲れ様でした。来週の練習試合、先輩の活躍期待してますから！」
そう言って足早に去ってしまった。
「あ、うん。」
聞こえたかどうか分からないが一応反応はしておいた。明日は一緒に帰ってあげようかな。何となくそう思った。