「あ、そうなのね。で、熱は測った?」
「あ、いえ。今測ってるところです」
会話をしながら先生は椅子に座り何かを書き始めた。
「測り終わりました…」
カーテンを開けて楓が出てきてそう言った。
「何度だった?」
それに対して先生が楓に質問した。
「三十八度五分程…」
楓は普通に熱が出ていた。やっぱり無理してたのだろう。
「あら、そんなに。今日はもう帰った方がいいわね。連絡の取れるご家族はいる?迎えに来てもらいましょう」
連絡の取れるご家族…おばあちゃんくらいか?
「父…あ、いえ。おばあちゃんに頼んでみます」
そうか。お父さんに頼むと家を出ていることがバレてしまうのか。
「じゃあ、そこの君はこの子の荷物をもってきてあげてね」
笑顔で俺にそう言った。
「あ、あとこれ担任の先生に渡してくれる?」
さっきまで書いていた紙を俺に渡してきた。紙を見ると早退を報告するような紙だった。
俺は「わかりました」とだけ伝え、教室に戻るとホームルームは終わっており、先生が待っててくれていた。
「川口のことは聞いたぞ。それでどうなった?」
そう聞かれたので楓が早退することと荷物を持ってくるように頼まれたことを説明した。