車を走らせる事、一時間程。
「ここに……くるみが」
くるみが住んでいると思われる家の近くまで来た。辺りを見渡すとそこは、俺がまだ眠る前の世界に近くてまだ発展途上という感じの場所だった。
「そういえば、香織さんって会ったことはなんですか？｣
よくよく考えれば俺と楓が姉弟だから、優大さんと従兄弟ということになる。いわば、親戚だ。
「はい。会ったことはないですね。そもそも彰さんが結婚されてることが知らなかったですから」
「いや…結婚はしてなかったかな。」
俺とくるみは結婚はしなかった。ただ交際をしていただけだった。だから、くるみに会うのを緊張している自分と久しぶりに会うという高揚感に溢れている自分がいた。
「そうなんですか？」
「うん。俺が病気だってことと長い間眠るってことを言えなくて…だから…」
俺がそう言いかけ時、香織さんが口を挟んできた。
「でも、くるみさんはそんなこと望んでなかったんですよね」
「……手紙にはそう書いてた。」
だからこそ会うのが怖い。怒られるんじゃないかとか。優大さんが俺の子供だとしても、くるみに夫がいないとも限らないとか。色々。