くるみからの手紙を読み終えた俺は再び手紙を机の上に置き、泣きそうになりながらも目の前にいる川口さんに確認を取った。
「あの…川口さん。名前の方をお伺ってもよろしいですか。」
「私ですか?名前は『優大』と言います。それがどうしたんですか?」
俺は涙が抑えきれなかった。
「あの…あなたのお母さんは元気にしてますか?」
「…え、はい。元気にしてますよ。」
「あの…あなたのお母さんに合わせていただくことって出来ますか…」
「僕の母にですか?」
「はい。お願いします。」
俺は頭を下げた。自分の息子かもしれない人に。
「ごめんなさい。」
「やっぱり…ダメですよね…。すみません変なこと言って…」
俺はもう一度軽く頭を下げ、みんなからの手紙を持って部屋を出ようと考えた時、彼は首を横に振りながら「そうじゃないです」と言った。
「…え?」
「すみませんが、私は忙しいので付き添いできないですが、母はここにいますよ」
そう言って胸ポケットからペンと紙を取り出し、何かを書いて、俺に渡して来た。
貰った紙には住所が書いてあった。
「いいんですか?」
向こうは俺の事知らないのに、多分今説明しても信じてくれない。そんな俺を自分のお母さんを合わせようとしてくれる。随分と優しい。