そして、香織さんはたんたんと語ってくれた。昔話を。まだ、俊と楓が生きていた頃の話。聞いていると涙がこぼれ落ちて止まらなかった。
「おじさん…なんで泣いてるの?」
栞里ちゃんが優しい声をかけてくれた。改めて見ると香織さんも含め、本当に二人にそっくりだった。
「ごめん……」
「いいんですよ。泣いても……」
香織さんにそう言われ、俺は再び涙がぶわっと出てしまった。
「…………うっ………………うっ……ああああああああああああああああああ」
俺はバカだ。自分のことしか考えてない。本当にクズだ。なんで俺は………。
自分を卑下したって二人に会えるわけはない。俺はどうしたらいいんだ。何をしたら……。そんな時、テレビから流れるあるニュースが耳に入った。
『続いてのニュースです。およそ五十年前に書かれたと思われるボトルメールが今朝、オーストラリアの方から日本へ届きました。現在は日本の貿易管理会社が保持している模様です。』
ニュースキャスターがそういった後、ゲストとしてでていた初めて見る芸人?らしき人がコメントをした。
『それ知ってます。たしか、海に落ちているのをオーストラリアに住む男性が拾い、わざわざ日本へ送ってくれたらしいですよ。中を見たら『川口彰へ』と書かれていたそうです。川口彰さんに届くといいですね〜』
そんな内容だった。
「今…俺の名前言いませんでした?」