「信じて貰えないかもしれないんですけど、俺、実はあなたのお母さんの双子の弟なんですよ」
栞里ちゃんのお母さんは持っていた携帯電話を落とした。
「…え？すみません。名前を聞いてもいいですか？」
「川口彰と申します」
「そう…だったんですね…。私は佐藤香織と言います。あなたのことはお母さんから良く話を聞いてました。あなたが……」
それから俺はリビングへと案内され、食卓へ座るように言われたので、言われた通りに座った。そして、俺の隣に栞里ちゃんが座った。
「あの…俺、二人に会いたいんですけど。どこに住んでるか分かりますかね…」
俺は思い切って聞いてみた。そして、もちろん二人というのは俊と楓の事だ。
「………大変言いにくいんですけど。二人はもう亡くなられてます。私が二十歳の時に…」
「………え…それ…本当ですか」
俊が死んだ？楓が死んだ？頭が混乱していた。もう会えない？あの頃の日々はもう戻ってこない？
「本当です。そして、私はあなたが来るのをずっと待ってました。」
俺は泣きそうになったが必死にこらえた。
「…え？」
「さっきも言いましたが、あなたのことは両親から良く聞いてました。」
俺はまず香織さんの話を聞こうと思った。