「俊?どうしたのよ急に…」
俺がその瓶を紐から外していると、後ろから楓の声が聞こえた。でも、俺の視線はこの瓶にあった。
俺はその瓶の蓋を開け、中の手紙を取り出した。
「それって…手紙?」
今度はくるみが俺の手に持っている紙を見てそう呟いた。
俺はしっかりみんなの方へ向き、中に入っていた楓宛ての手紙、くるみ宛て、俊典さん宛て、俺の母さんと父さん宛の手紙をそれぞれに渡した。
「うん。彰からの手紙らしい…」
それぞれが黙って彰からの手紙に目を通した。俺はそんな様子を眺めつつ彰からの手紙を読み始めた。
『俊へ
これから俺は大きな嘘をつきます。
俊を傷つけるような大きな嘘です。
でも、これだけはわかって欲しい。俺はもう一度、俊と楓やくるみと普通の日常を過ごしたかった。でも、もしかしたら俺が眠る前に病気が治るかもしれない。その時は笑い話としてこの手紙を俊に渡すよ。彰より』
この手紙の文字は中学の頃か高校に上がってすぐ位の頃の彰の物だった。
彰は中学の頃にこの手紙を書いていたらしい。
ちらっと他のみんなを見るとみんなも同じような顔をしていた。
俺は本命で裏の手紙を読み始めた。