くるみは机をバンッと叩いて立ち上がりながらそう言った。
「だよな。」
俺がくるみと同じ意見で良かった。心からそう思った。
彰があの海に何を残したのか。そんなことは俺にも楓にもくるみにも分からない。だから、確認する必要があった。
「…え？」
「くるみもそう思うだろ？だから…行こうぜ、海に。あいつの残したものを見に。」
くるみは涙を袖で拭って笑顔で頷いた。いつものくるみに戻ってくれたみたいでよかった。
「でも…その前に俺の家に行くぞ｣
俺はその前に俺と楓とくるみの三人でやりたいことがあった。彰へ向けて。
俺は早速、くるみを乗せてバイクを走らせて自宅まで向かった。

「ただいま」
玄関のドアを開けるとすぐにリビングから楓が迎え出てくれた。
「ちょっとどこ行って…って、くるみちゃん…？」
俺の後ろにいるくるみを見て軽く驚いた。このリアクションは当然のことだ。
「俊先輩から全部聞きました。私もあの海に行きたいです」
「…そっか。本当にごめんね」
楓はくるみに頭を下げた。これは姉として、家族としての謝罪だろう。だから、俺も一度靴を脱いでくるみの方へ向き、俺も頭を下げた。
いつの日か俺の母さんが彰のことを『家族』と言った。そんなこと言ったら俺もそうだ。彰も楓もみんな家族だ。現在は本当の家族だけど、あの時から俺はずっとそう思っていた。