「私…振られました。彰先輩に…。私何かしたんでしょうか」
俺の質問には答えなかったが、やっぱり顔色の悪い原因はそれか。
俺はやっぱり話すべきだと思った。というか、元々その話をするためにここに来たのだ。
「くるみは悪くないんだ。俺が今から言うことは全部本当のことなんだ。だから、落ち着いて聞いて欲しい」
彰はくるみのためにわざと振ったんだ。だからといって、彰の真実を知らないままなんて、いくらなんでもくるみが可哀想だと思った。
「……どういうことですか?」
くるみの目からは涙が出そうだった。当然だ。好きな人からなんの前ぶりもなく別れを告げられたのだから。
「彰は…病気だったんだ。それも難病の」
「……え?もしかして…」
くるみは絶句していた。中学の頃、俺も似たような反応をした記憶がある。
「いや、生きてる。でも…」
くるみが何を言おうとしたのか続きがわかったのですぐに否定した。彰は死んではない。
「…でも?」
「深い眠りについてる」
俺がそう言ったが、くるみの頭には『?』が浮かんでいた。だから、俺はもう少し詳しく説明した。これまで彰…だけじゃない。俺たちがくるみに内緒にしていたこと全部。
全ての説明が終わると、くるみの目からは涙が出ていた。