内容はこうだ。
俺をここまで育ててくれた両親への感謝の言葉、親友の彰への日常での笑い話などをたんたんと話した。それをみんなは飽きずに聞いてくれた。本当にここには優しい人しかいない。
これだけは言える。
『今俺は地球上で一番幸せ者だ』
と。
俺のスピーチが終わると彰の時と同様に大きな拍手が飛び交った。俺はそんな中、深々と頭を下げた。頭を下げ始めて何秒だったか分からないがとにかく長い間頭を下げた。
それからは何事もなく結婚式を終えることが出来た。

「無事終わって良かったね。」
「そうだな。本当に無事終わって良かった。」
「スーツ返しに行かないとね。」
「確か明日までだから、明日返しに行ってくるわ」
俺は家のソファでゆっくり寝そべり、楓は俺の上に寝るように寄り添っている。最近はこんな体勢が落ち着くのだ。
「それはそうと楽しみだねー！」
俺たちの話し合いで新婚旅行は来週に行くことになった。来月は楓のモデルの仕事でいっぱいいっぱいになってしまったから仕方がなくだ。それに早いことに越したことはない。なんせ俺の就職先が決まってないからだ。