遺伝性…ってことは彰のお母さんと同様に若くして死んでしまうのだろうか。
「それって…治るのか?」
唇を噛み締め、楓の目を真っ直ぐ見ながらそう聞いた。そしたら楓はゆっくり首を横に振った。その瞬間俺は全てを悟った。彰が部活を辞めた理由だったり色々。
「私が彰の病気を早く治せるようにしないと…」
「あのさぁ、楓…友達の家に泊まってるって嘘だろ?」
不意にそう思った。どうして楓の友達とその家族はそれを許してるのか理解出来なかったから。それと、幼馴染の勘だ。
「……え?…本当…だよ」
目を見れば楓が嘘をついていることはすぐにわかった。俺がどれだけ楓を見てきたと思ってる。
「本当のことを話してくれ」
真っ直ぐ楓を見ながら真剣にそう言った。
「…ごめん。友達の家っていうのは嘘。でも心配しないで。おばあちゃんの家だから」
どうやら俺の勘違いのようだった。
「…そっか。でも、なんでおばあちゃんの家にいるの?」
ずっと気になっていたことだった。現実から逃げたいという理由だけではない気がしたから。