「確かに初めて飲むけど大丈夫だよ。大人の味って感じがして」
「それにしても本当に良かったな…彰くん」
「そうだね…」
父と二人で話すのなんて何光年ぶりぐらい久しぶりだ。母を寝室に運んだあたりから酔いが覚めて、急に気恥ずかしくなった。
「それはそうと、楓ちゃんと結婚式とかはあげるのか?」
「あげたいけどお金が無い…」
俺ははっきりいってまだ悩んでいた。楓と結婚することをではなく、仕事をこっちでするか、あっちでするかをだ。
「お金のことなら借金という形なら貸してやらんこともないぞ?」
「いや、さすがに悪いよ」
最近だと結婚式を新郎新婦の二人だけで行う人が増えているらしいから、あまりお金の心配はしていなかった。もちろん俺の両親と楓のお父さん、彰、そして朱里さんは招待するつもりだけど。そして、もし来れるなら春斗さんと芽吹さんも。
「いや、一生に一度しかない事だ。それに、俺も当時は金がなくて親父にお金を借りたよ。だから、遠慮するなよ」