「あ、うん。今から言うことは知らないってことにして欲しいんだけど、いい?」
「あ、うん。わかった」
大した話じゃないと思ったから軽く頷いた。
「彰……別に怪我とかしてる訳じゃないの」
「…え?彰が嘘をついてたってこと?」
でも、なんのために?もしかして俺と一緒にバスケするのが嫌になったとか?嫌な予感がしたが楓が次に言った言葉は想像をはるかに超えていた。
「違うの……彰、病気なの」
楓は泣きそうな声と顔でそう言った。
「病…気?さすがに嘘だよな?幼馴染ジョークとか?」
「…ううん、本当の話。私はそんな現実に逃げてた。彰が死ぬんじゃないかって…」
楓は既に大粒の涙を流していた。こんな楓が泣いている姿を初めて見た。そしてその涙を見て彰が病気と言う現実を突きつけられた気がした。
「…彰、なんの病気なの?」
確認する必要があった。楓がこんなに泣いているんだ。決して軽い病気では無いのはわかってる。
「お母さんと同じ病気なんだって…。遺伝性の病気で…」