俺は佐伯の関係はそんな軽い関係ではないのは確かだった。これがいわゆる『友達以上恋人未満』と言うやつだろうか。
「じゃあ、私からももう一度真剣に言います。」
佐伯は涙を袖で拭いて、俺の方をしっかり見て改まった。
「私とこれからも友達として仲良くしてください。」
「おう！」
「でも、まだ諦めた訳ではありませんからね！」
「お、おう。」
俺は『頑張れ』と言うべきだろうか。それは少し自意識過剰だと思うし、俺はこれから楓が好きだ。だから、叶わぬことなのだ。それを応援するのはあまりにも皮肉すぎるし、佐伯にも失礼だと思った。
「みんなも集まったことですし、朝練始めましょうか！」
佐伯がそう言ったので、後ろを振り返ると三年の先輩と同級生と後輩が達がいた。
もしかすると一連の流れを見られていたのかもしれないけど、そんなの俺と佐伯の仲が壊れるよりは全然マシだった。
「大丈夫だったか？」
聞き覚えのある声が聞こえる方を向くと彰がいた。
「ああ、大丈夫だよ。そんな簡単に俺らの仲は壊れないよ」
カッコつけているのはわかってるが、俺はそう言った。「そうだよな。俺らの仲は壊れるわけないよな。何があっても」
中学の頃からの数年間で俺たちは仲良くなった。彰と楓ともそうだ。小学生の頃は単なる幼馴染だった気がする。でも、ここ数年で親友とまでいくようになった。それに伴って楓のことも好きになった。
そんなことを考えていたら無性に楓に会いたくなってしまった。