「こんな時間まで何してるの?」
玄関を開け、スっと上を見ると目の前に寮監がいた。
「あ、すみません。ちょっと道に迷っちゃって…」
「それなら…いいけど。心配したのよ?これからは気をつけてね」
随分と優しかった。彰は怒ってるよ、とか言ってたけどそうでもなかったみたいだ。
俺はすぐに自室まで歩いた。
自室のドアを開けると彰はベッドに寝転がりながら携帯をいじっていた。
「ただいま」
「あ、おかえり。そういえば、佐伯と一緒に映画見てきたんだろ?なんで佐伯の方が先に帰ってきてんだよ」
彰は起き上がり、俺にそう言ったのでとりあえず、
「なんでもないよ」
と精一杯笑って言った…つもりだった。
「…そっか。何があったか知らないけど。俺、余計なことしちゃった感じかな…」
俺は『なんでもない』と言ったはずなのに彰は何かを察したかのように、俺に申し訳なさそうにしていた。
そして、今の彰の発言で確信した。佐伯が俺に告白するためにわざわざ彰は一人、部屋に残ったのだ。
「……やっぱりそうか。でも、余計なことでは無いよ」