「私…ずっと俊先輩のこと好きだったんですよ」
「それは…ありがとう。」
おそらく『飼っているペットに向けるような好き』という意味だろう。それなら楓からもよく言われることだった。そして、言われ慣れてしまった。
「そうじゃなくて。私、恋愛として好きなんですよ。」
その言葉に俺はスっと佐伯の方を向いた。
佐伯は、夕日に照らされているからか顔が赤くなっていた。
「……え?」
「だから。私、俊先輩のことが好きなんです。ずっと前から」
佐伯の手が俺の手にスっと触れた。
「…それ本当?」
「今更嘘なんかつかないですよ。」
「ちょ、ごめん。そんなこと初めて言われたからなんて反応すればいいか、分からなくて…」
人から恋愛感情としての『好き』という言葉を初めて言われて動揺してしまった。だから、思わず握られてない方の手で顔を隠してしまった。すると、佐伯はもう片方の手で俺の手を握ってきた。
自分が今どんな顔がどうなっているかをバレたくなかったが無理やり剥がされた。
「先輩…顔真っ赤ですよ」