「あのさぁ…」
俺が話しかけた瞬間に佐伯が重ねるように声を出した。
「わかってますから。私のタイミングで言わせてくださいよ。」
「あ、ごめん」
何故か気まずい空気が漂い、数分してから頼んだ物が来てくれた。
「美味しそうー!やっぱりファミレスは高校生の味方ですね!」
佐伯はとびきりの笑顔で俺にそう言った。俺も「そうだな」とだけ返しておいて、ハンバーグを食べ始めた。
「そういえば、彰先輩ってなんでマネージャーやってるんですか?」
いつか聞かれると思っていたことをついに聞かれてしまった。
「それは…」
俺にも分からないと言おうとした時、辞めた。事実を伝えるべきだと思った。でも、それは俺の口から出はない。もちろん本人がいいのであればの話だ。あくまで話すのなら本人の口、という訳だ。
「俺の口からは言えないかな…」
そう濁した。そしたら佐伯は頼んだピザを八等分に切りながら、「わかりました」とだけ言った。